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恐怖!!虐待が生み出した戦慄の殺人鬼

消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 (新潮文庫)

 虐待を受け続け人はどうなってしまうのか。その答えがここにある。2002年に発覚した北九州監禁殺人事件。その残酷非道な内容が刻まれたノンフィクション。日本史上例をみない冷酷無比な事実に、常人であれば読めば読むほど気持ち悪くなっていく一冊。

北九州監禁殺人事件

2002年に発覚しその非道な内容に報道規制がされたとまで言われている。主犯である松永氏によって家族が惨殺された。惨殺させられたと言うべきであろう。何故なら直接手を下していたのは被害者達自身であったのだから。殺されたのは当時小学生だった少女を含む一家計7人。1980年代初めから発覚した2002年までのおよそ20年間被害者はたび重なる虐待により洗脳されていたと言う。

虐待を受け続けた被害者家族の精神状態

 これこそがこの事件が恐怖たる最たる理由である。愛する家族を自分の手で殺していく。親をまた子どもを。何故そのようなことが起こり得るのか。それがこの事件の壮絶さを表している。虐待。そして恐怖。恐怖は人をここまで変えてしまう。ただ恐怖と言ってもことばで表現するのは難しい。寧ろ恐怖という言葉すら可愛く見えてしまう。思考の低下。それからの逃走。それほどまでに恐怖を与える虐待とはどんなものだったのか。

 

この書によれば主だった手段は電気ショック。他にも数多く存在するがこれが最も頻繁に行われたもののようだ。テレビで見られるような類のかわいいレベルではない。気絶し死にすら至らしめるレベルの電気だ。生き地獄。そういえばいいのだろうか。死刑判決に使用される事もある電気イス。そんなレベルだったのではないだろうか。それでも死さえ許されない。死んでしまいたくなるレベル。そしてせめて殺してあげたくなるレベル。そういう電気ショックが毎日の様に行われていた様だ。

その他にも自分の排泄物を食べさせられた。という事も行われていたようである。この様な事が日常的に行われ半ば常識化してしまった世界。それを想像できるだろうか。恐怖は人を変えていく。

 

現代社会に忍び寄る恐怖と社畜

 社畜という言葉はご存じだろうか?会社の奴隷のように何でも会社の言う通りになってしまっている人のことである。片や殺人事件、もう片方は一企業の社員。次元の違う話だというのはご理解いただきたい。その上で私はこの北九州監禁殺人事件と社畜というものの類似点を指摘しておこうと思う。

類似点

  1. 支配される原因が恐怖に起因していること
  2. 会社という限られた環境が監禁状態に近いこと
  3. そのコミュニティを追い出されると人生が終わりだと感じる人がいること

無理やり結びつけていると感じるかもしれない。しかし私には度は違えど、この北九州監禁殺人事件に似た心境を持つ人がいる様に思えてならないのである。会社が犯罪に手を出すとそれに従い犯罪に手を出す人が今後出てくるかもしれない。そう思えてならない。

恐怖による支配から逃げだそう

この本が教えてくれるのは、自分の置かれた環境を冷静に判断しそして考えること。恐怖により支配されてはいないだろうか?本当の恐怖は気付かない間にあなたの思考能力を低下させていくのである。客観的な判断力。逃げ出す力も養わなければならない。

 

※被害者家族に対し殺人鬼という言葉を用いたことに対して

事実だけを見ればどんな心境であれ家族を直接殺害したのはこの家族自身に変わりはありません。同時に被害者でありご冥福をお祈りします

 

 

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