読書の独書

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「たかよし吉田」が元素周期表よりセクシーすぎる


元素周期表


元素記号が記述された周期表から見えてくる世界。学校で丸暗記した人も多い筈。すいへいりいべ・・。その周期表から見えてくる世界がざっくりと分かり易く記述された一冊。普段あまり見ない人でも、もう一度周期表を眺めてみよう。

面白過ぎる「元素周期表

  1. よく使用する元素の真下は毒性がある
  2. 横一列を見れば健康にいいのか毒なのか分かる。

 亜鉛は健康にいいけどカドミウムは毒性だ。周期表から健康サプリメントを見ることだってできる。レアアースって何?という簡単な疑問や人体に含まれている元素など元素記号に関する雑学が万歳。周期表なんて大嫌いだって人には是非読んで欲しい。化学の本でありながら読み物としてオススメ。

ま、IT産業もオワリだけど、あんたら株主の奴隷になってるよ。

新しい資本主義 (PHP新書)

  日本が秘める資本主義の新しい形。日本がこれからの世界に向けて手本となりそして主導していくための方向性を提唱した一冊。株主のための金融資本主義から脱却し、社会に貢献し人々が本質的な豊かさを手に入れるための公益資本主義を提唱している。

新しい資本主義への三本柱

  1. 株主のために存在している会社
  2. IT産業って終わってる
  3. ヨノタメヒトノタメ

株主のために存在している社会

 近年、アメリカを中心に金融工学を駆使したファンドがマーケットを支配してきた。株主の利益を最大にする事。それが企業の果すべき役割であるという考えこそが株主市場主義であり、金融を大きくすることが第一の責務であるかの様な振る舞いは金融資本主義における一つの形である。

株主至上主義の最大の問題は産業の弱体化に他ならない。株主利益を最大にするため企業は短期利益つまりIRRやROEを追求する様になってきた。一方でコア技術を必要とする新たな基幹産業には中長期の開発期間が必要である。

金融は実際に何かを作りだすわけではない。したがって産業の主役になってしまってはならない。それを払拭し株主至上主義から脱却しなければならない。

IT産業って終わってる

 コンピューターを中心としたIT産業は既に成熟し衰退期に入っている。その一つの兆候として現在のIT産業の主役は新しい技術ではなく、その使い方が主役になっていることがあげられる。また現在のコンピューターの理論では限界があるとも主張する。

確かに今の日本を見ればそれは明らかで、SNS等の様に既存技術の組み合わせが主役になっている。

 

つまり今のコンピューターの次の世代ポストコンピューターの時代を考える必要がある。コンピューターは元々演算目的のためのものであり現在の様なネットワーク、コミュニケーションを主流に設計されたものではない。PUCというコンセプトを前提とした全く新しいコンピューターを実現するためにもコア技術を開発する必要性があるとここで述べられている。

 

IT産業に代わる新たな基幹産業が必要なのである。

 

PUC(Pervasive Ubiquitous Communications)というコンセプト

使っていることを感じさせずどこでも偏在しているコミュニケーション機能。最近では聞く事も多くなった、コンピューターと意識しないコンピューターとも言えそうである。

 

ヨノタメヒトノタメ

 公益資本主義。会社の事業を通じて公益に貢献していく資本主義のこと。これこそがこの著のタイトルにもなっている「新しい資本主義」である。つまりはヨノタメヒトノタメというわけだ。

 

ここでは著者・原丈人氏の所属するアライアンス・フォーラムより公益資本主義への取り組みとして二つの例が紹介されている。

 

 bracNETプロジェクト

"次世代技術を活用した民間によるバングラデシュでの途上国支援

bracNet プロジェクトとは、 最新技術を活用して、遠隔教育と遠隔医療サービスを展開し、識字率を高め、教育と健康管理など、途上国の生活水準を改善する、「 援助ではなく、民間による事業 」で途上国支援を行うプロジェクトのひとつです。"

bracNetプロジェクトについて | bracNetプロジェクト | 途上国支援事業部門 | アライアンス・フォーラム財団


スピルリナプロジェクト

"スピルリナ・プロジェクトとは、たんぱく質含有量の高い、食用藻スピルリナを使って、途上国の栄養不良、飢餓、それらが原因で引き起こす様々な病気を撲滅するという目的を持った飢餓・栄養不良改善のプロジェクトです。"

スピルリナ・プロジェクトについて | スピルリナプロジェクト | 途上国支援事業部門 | アライアンス・フォーラム財団

 

その他

陰りの見え始めているIT産業に全く新しい光を取り入れる新しい基幹産業を生み出す。そのためにまず現在の金融資本主義は終わらせねばならない。社長のためでもない。どこぞの得体のしれない株主のためにまだ社畜続けますか。

 

関連

  1. bracNetプロジェクトについて | bracNetプロジェクト | 途上国支援事業部門 | アライアンス・フォーラム財団
  2. スピルリナ・プロジェクトについて | スピルリナプロジェクト | 途上国支援事業部門 | アライアンス・フォーラム財団
  3. Alliance Forum (Alliance_Forum) sur Twitter

だれかを犠牲にする経済は、もういらない

だれかを犠牲にする経済は、もういらない

恐怖!!虐待が生み出した戦慄の殺人鬼

消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 (新潮文庫)

 虐待を受け続け人はどうなってしまうのか。その答えがここにある。2002年に発覚した北九州監禁殺人事件。その残酷非道な内容が刻まれたノンフィクション。日本史上例をみない冷酷無比な事実に、常人であれば読めば読むほど気持ち悪くなっていく一冊。

北九州監禁殺人事件

2002年に発覚しその非道な内容に報道規制がされたとまで言われている。主犯である松永氏によって家族が惨殺された。惨殺させられたと言うべきであろう。何故なら直接手を下していたのは被害者達自身であったのだから。殺されたのは当時小学生だった少女を含む一家計7人。1980年代初めから発覚した2002年までのおよそ20年間被害者はたび重なる虐待により洗脳されていたと言う。

虐待を受け続けた被害者家族の精神状態

 これこそがこの事件が恐怖たる最たる理由である。愛する家族を自分の手で殺していく。親をまた子どもを。何故そのようなことが起こり得るのか。それがこの事件の壮絶さを表している。虐待。そして恐怖。恐怖は人をここまで変えてしまう。ただ恐怖と言ってもことばで表現するのは難しい。寧ろ恐怖という言葉すら可愛く見えてしまう。思考の低下。それからの逃走。それほどまでに恐怖を与える虐待とはどんなものだったのか。

 

この書によれば主だった手段は電気ショック。他にも数多く存在するがこれが最も頻繁に行われたもののようだ。テレビで見られるような類のかわいいレベルではない。気絶し死にすら至らしめるレベルの電気だ。生き地獄。そういえばいいのだろうか。死刑判決に使用される事もある電気イス。そんなレベルだったのではないだろうか。それでも死さえ許されない。死んでしまいたくなるレベル。そしてせめて殺してあげたくなるレベル。そういう電気ショックが毎日の様に行われていた様だ。

その他にも自分の排泄物を食べさせられた。という事も行われていたようである。この様な事が日常的に行われ半ば常識化してしまった世界。それを想像できるだろうか。恐怖は人を変えていく。

 

現代社会に忍び寄る恐怖と社畜

 社畜という言葉はご存じだろうか?会社の奴隷のように何でも会社の言う通りになってしまっている人のことである。片や殺人事件、もう片方は一企業の社員。次元の違う話だというのはご理解いただきたい。その上で私はこの北九州監禁殺人事件と社畜というものの類似点を指摘しておこうと思う。

類似点

  1. 支配される原因が恐怖に起因していること
  2. 会社という限られた環境が監禁状態に近いこと
  3. そのコミュニティを追い出されると人生が終わりだと感じる人がいること

無理やり結びつけていると感じるかもしれない。しかし私には度は違えど、この北九州監禁殺人事件に似た心境を持つ人がいる様に思えてならないのである。会社が犯罪に手を出すとそれに従い犯罪に手を出す人が今後出てくるかもしれない。そう思えてならない。

恐怖による支配から逃げだそう

この本が教えてくれるのは、自分の置かれた環境を冷静に判断しそして考えること。恐怖により支配されてはいないだろうか?本当の恐怖は気付かない間にあなたの思考能力を低下させていくのである。客観的な判断力。逃げ出す力も養わなければならない。

 

※被害者家族に対し殺人鬼という言葉を用いたことに対して

事実だけを見ればどんな心境であれ家族を直接殺害したのはこの家族自身に変わりはありません。同時に被害者でありご冥福をお祈りします

 

 

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消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 (新潮文庫)

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